ε-アミノカプロン酸の抗炎症の薬効・薬理、トラネキサム酸との比較

くくたる@薬剤師
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【薬剤師歴11年目】
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【その他資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

市販の目薬や化粧品などに含まれている【ε-アミノカプロン酸】ですが、パッケージやお薬の説明書を見ても【抗炎症作用】しか書いていないことが多く、なぜ抗炎症作用があるのか想像しにくいですよね…!

 

そこで今回は、ε-アミノカプロン酸の抗炎症の作用機序や他の抗炎症薬との違いをまとめましたので紹介します!

ε-アミノカプロン酸の薬効分類は?

ε-アミノカプロン酸は医療用医薬品がないので添付文書やインタビューフォームが見つけられませんが、実はこの答えはトラネキサム酸のインタビューフォームに載っていますので内容を抜粋します!

 

トランサミン錠のインタビューフォームの薬効薬理に関する項目

【トランサミンの薬理学的に関連ある化合物又は化合物群の記載内容】

ε-aminocaproic acid(ε-アミノカプロン酸)
aprotinin(アプロチニン)

 

このように記載されていますので、ε-アミノカプロン酸の抗炎症作用はトラネキサム酸と同様の薬理作用機序であると考えられます!

 

そうなってくると、今度は「ε-アミノカプロン酸とトラネキサム酸はどちらが強いのだろう?」という疑問が生じますよね!

※トラネキサム酸の方が医療用医薬品もあるため強いイメージはありますが。

 

実はこれについてもトランサミン錠のインタビューフォームに載っていますので紹介します!

ε-アミノカプロン酸とトラネキサム酸の効力比

トランサミンのインタビューフォームには、トラネキサム酸とε-アミノカプロン酸の抗プラスミン作用に対する効力比が載っています!

 

フィブリン分解法(吸光度の効力比):8倍

フィブリン分解法(溶解時間の効力比):26倍

※カゼイン分解法については割愛しています。私の知識不足により、カゼインと抗プラスミン作用のイメージが繋がりにくいためです。

 

このように記載されているため、抗プラスミン作用はトラネキサム酸の方が優れていると考えられます!

 

ここまでで、ε-アミノカプロン酸やトラネキサム酸が抗プラスミン作用を示すことまで整理できたと思います!

 

最後に「抗プラスミン作用があるとなぜ抗炎症作用示すのか」について紹介します!

抗プラスミン作用があるとなぜ抗炎症作用を示すのか?

これについてはプラスミンの炎症に対する作用を理解する必要があります!

 

プラスミンの炎症・アレルギー症状に対する作用

プラスミンは血管透過性の亢進アレルギーや炎症の原因となるキニンやその他の活性ペプチド等の産生に関与していることが知られております!

 

そのため、抗プラスミン作用を持つε-アミノカプロン酸やトラネキサム酸は、プラスミンの作用を抑えることで抗炎症・抗アレルギー作用を示すと考えられています!

ε-アミノカプロン酸とトラネキサム酸の関係

ε-アミノカプロン酸とトラネキサム酸の構造式を見てみるとわかりますが、かなり類似した構造になっています!

 

ε-アミノカプロン酸とトラネキサム酸、リジンの構造式を比較

見比べるとわかりますが、ε-アミノカプロン酸もトラネキサム酸もCOOHからNH2までの直線での炭素数は6個のため、構造はかなり似ていると考えられます!

 

また、トラネキサム酸の作用機序には、

「プラスミンやプラスミノゲンのフィブリンアフィニティー部位であるリジン結合部位(LBS)と強く結合し、プラスミンやプラスミノゲンがフィブリンに結合するのを阻止する。」

このように記載がありますが、リジンと構造式が似ているため作用機序も納得できますよね!

参考文献

トランサミン錠のインタビューフォーム※PDF直リンク

一般社団法人 日本血栓止血学会 » 用語集(詳細説明)

薬がみえる vol.2

最後に

というわけで今回は、ε-アミノカプロン酸の抗炎症作用の薬効・薬理作用とトラネキサム酸との関係性を紹介しました!

 

リジン結合部位については国家試験で役立つかどうか程度に考えていたのですが、構造式を見て納得できる点が面白いですよね!

改めて薬の構造は大切だし興味深いなと思いました!

 

ε-アミノカプロン酸についてまとめるつもりだったのですが、ほぼトラネキサム酸のインタビューフォームの紹介になってしまいましたので、その点はご了承ください!

 

 

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