第二世代抗ヒスタミン薬の強さ(効果)比較と構造式による分類【Pubmed文献参考】

くくたる@薬剤師
くくたる@薬剤師

こんにちは!

くくたる(twitterはコチラ)です!

【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年

【その他資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

今回は、今までなんとなくの感覚で位置づけてしまっていた【第二世代抗ヒスタミン薬の薬効比較】をPubmedの文献をメインに検討しました!

 

ちなみに医師の処方頻度や患者さんのお話を参考にした私の経験上では、

●フェキソフェナジンやロラタジン、エピナスチンあたりは効果が弱め

●オロパタジン、ルパタジン、レボセチリジン、ビラスチン、ベポタスチンあたりは効果が強め

このような感覚がありました!

※全国各地で15店舗前後の薬局で勤務・応援の経験があるため、医師の処方の癖はある程度減らせていると個人的には思っています。

 

また、仮に効き目が悪かった場合には「別の骨格の薬を選ぶと効く可能性が期待できる」という考え方もあるため、構造式の分類についてもまとめを作成しました!

 

ただ、今回比較した文献は「24時間で第二世代抗ヒスタミン薬の膨疹・発赤抑制効果を検討している内容」が多いため、すべての疾患に当てはまるとは言えない点はご了承ください!

※一部、慢性蕁麻疹で検討している文献もあります。

ガイドラインによる第二世代抗ヒスタミン薬の評価

蕁麻疹診療ガイドライン(2018)と鼻アレルギー診療ガイドライン(2016)の記載内容を見てみます!

 

蕁麻疹診療ガイドライン(2018)

蕁麻疹診療ガイドライン2018 | Mindsガイドラインライブラリ

 

慢性蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬の有効性を検討した報告はエビデンスレベルの高いものが多数見つかったが,特定の抗ヒスタミン薬の優越性を示す報告は見つからなかった.

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf

 

慢性蕁麻疹の抗ヒスタミン薬の治療の考察の項目では上記のように記載されております!

 

鼻アレルギー診療ガイドライン

鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年度版(改訂第8版)

無料で確認できる内容が2016年版のため参考にしましたが、抗ヒスタミン薬の比較については見つけられませんでした…!

 

最新のアレルギー性鼻炎治療―ガイドライン改訂と抗ヒスタミン薬による治療戦略―

ガイドラインそのものではありませんが、2020年版 (改訂第9版) の内容に触れられているため合わせて載せておきます!

第二世代抗ヒスタミン薬の薬効比較

先に私が調べた内容の結論を書きます!

 

①オロパタジン > レボセチリジン > セチリジン > エピナスチン > エバスチン > フェキソフェナジン > ロラタジン = デスロラタジン

②オロパタジン > ビラスチン、ルパタジン

③オロパタジンとセチリジン > ベポタスチンとフェキソフェナジン

 

参考にした文献は下記に記載します!

レボセチリジン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、ミゾラスチン、プラセボとの比較(臨床試験)

A double-blind, randomized, single-dose, crossover comparison of levocetirizine with ebastine, fexofenadine, loratadine, mizolastine, and placebo: suppression of histamine-induced wheal-and-flare response during 24 hours in healthy male subjects(PMID:11868924)

健康な男性ボランティア18名を対象に、単回投与で24時間のヒスタミン誘発性膨疹および発赤反応の抑制を比較したものです!

 

この文献によると、

レボセチリジン 5mg > エバスチン 10mg、フェキソフェンジン 180mg(日本では120mgが常用量)、(ミゾラスチン 10mg)> ロラタジン10mg

このような順番で考えられております!

セチリジン、エバスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、テルフェナジン、ロラタジン、プラセボとの比較(臨床試験)

A double-blind, single-dose, crossover comparison of cetirizine, ebastine, epinastine, fexofenadine, terfenadine, and loratadine versus placebo: suppression of histamine-induced wheal and flare response for 24 h in healthy male subjects(PMID:10442525)

健康男性ボランティア14名を対象に、単回投与で24時間のヒスタミン誘発性膨疹および発赤反応の抑制を比較したものです!

 

この文献によると、

セチリジン 10mg > エピナスチン 20mg >(テルフェナジン 60mg)> エバスチン 10mg > フェキソフェナジン 60mg > ロラタジン 10mg

このような順番で考えられております!

セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、プラセボとの比較(ランダム化比較試験)

[The effect of 5-days of cetirizine, desloratadine, fexofenadine 120 and 180 mg, levocetirizine, loratadine treatment on the histamine-induced skin reaction and skin blood flow–a randomized, double-blind, placebo controlled trial] – PubMed(PMID:17345838)

ボランティア 42 名(18~22 歳)を対象に5日間、推奨用量で投与してヒスタミン誘発性皮膨疹および発赤反応の抑制を比較したものです!

 

この文献によると、

レボセチリジン 5mg > セチリジン 10mg > フェキソフェナジン 180mg = フェキソフェナジン 120mg > ロラタジン 10mg = デスロラタジン 5mg

このような順番で考えられております!

ベポタスチン、セチリジン、フェキソフェナジン、オロパタジン、プラセボの比較(臨床試験)

Effects of bepotastine, cetirizine, fexofenadine, and olopatadine on histamine-induced wheal-and flare-response, sedation, and psychomotor performance – PubMed(PMID:15347340)

健常ボランティア7名を対象に、24時間ヒスタミン誘発性膨疹、発赤反応の抑制を比較した文献です!

 

この文献によると、

オロパタジン 10mgとセチリジン 10mg > ベポタスチン 20mgとフェキソフェナジン 120mg

このような順番で考えられております!

フェキソフェナジン、ロラタジン、プラセボとの比較(臨床試験)

Suppression of the histamine-induced wheal and flare response by fexofenadine HCl 60 mg twice daily, loratadine 10 mg once daily and placebo in healthy Japanese volunteers – PubMed(PMID:16197669)

この文献の最大の特徴は、日本人被験者の比較である点です!

 

20-53歳の健康な日本人男女18名を対象に、24時間のヒスタミン誘発性膨疹および発赤反応の抑制を比較した文献です!

 

この文献によると、

フェキソフェナジン 120mg > ロラタジン 10mg

このような順番で考えられております!

 

くくたる@薬剤師
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フェキソフェナジンとロラタジン共に市販薬でもよく聞かれるため、日本人を対象としている試験の情報は自信をもって紹介できますね!

オロパタジンとレボセチリジンの比較(臨床試験)

Olopatadine versus levocetirizine in chronic urticaria: an observer-blind, randomized, controlled trial of effectiveness and safety – PubMed(PMID:23163959)

成人男女の慢性蕁麻疹の患者120名を対象に、9週間投与し蕁麻疹活性スコア(UAS)および蕁麻疹総合重症度スコア(TSS)で評価を行った文献です!

 

この文献によると、

オロタパジン 10mg > レボセチリジン 5mg

このような順番で考えられております!

オロパタジン、フェキソフェナジン、ビラスチン、ルパタジン、レボセチリジン、プラセボの比較(メタアナリシス)

Comparative Efficacy and Acceptability of Licensed Dose Second-Generation Antihistamines in Chronic Spontaneous Urticaria: A Network Meta-Analysis – PubMed(PMID:32916325)

慢性自発性蕁麻疹(CSU)治療における認可用量の第二世代抗ヒスタミン薬の有効性を比較したメタアナリシスの文献です!

 

PubMed、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceで、2020年3月までの慢性自発性蕁麻疹(CSU)治療に認可用量第二世代抗ヒスタミン薬を含むランダム化比較試験(RCT)が対象になっています!

 

この文献によると、

オロパタジン、フェキソフェナジン、ビラスチン、ルタパジン、レボセチリジンの中で、オロパタジンはすべての有効性において1位であったと記載されております!

※有効性の検証内容:総症状スコア(TSS)、掻痒スコア、膨疹スコア

第二世代抗ヒスタミン薬の構造式分類一覧

最後に第二世代抗ヒスタミン薬の構造式の分類を紹介します!

 

仮にオロパタジン(三環系骨格)で効き目が悪かった場合に、ビラスチン(ピペリジン骨格)やレボセチリジン(ピペラジン骨格)というように「別の骨格の薬剤に変更することで効く可能性が期待できる」という考え方があるため紹介しました!

 

くくたる@薬剤師
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確実に効き目が期待できるとは言えませんが、代替案を考える際に覚えておいて損はないと思います!

最後に

というわけで、今回は第二世代抗ヒスタミン薬の強さ比較を検討した記事でした!

 

他にも薬効比較をまとめている記事があるため、興味を持っていただけたら是非見てみて下さい!

花粉症・鼻炎の市販薬一覧!選び方のポイント

 

 

くくたる@薬剤師
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