こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
今回は抗ヒスタミン薬のうち食欲増進や抗セロトニン作用などが報告されているシプロヘプタジンと、MARTA(クエチアピンやオランザピン)の構造類似性について考察をしたいと思います!
ちなみに私が構造式を考えるようになったきっかけの本はコチラです!
構造式の比較について
ぱっと見ですが、かなり似た構造式をしていますよね!
それぞれの添付文書の記載を見ていきたいと思います!
シプロヘプタジンの添付文書より抜粋
ペリアクチン錠4mg/ペリアクチン散1%の添付文書(PMDA)
抗ヒスタミン作用
シプロヘプタジン塩酸塩はヒスタミンによるモルモットの気管支収縮,イヌの血圧下降及びモルモット,マウスの能動的,受動的アナフィラキシーショックを抑制し,その抗ヒスタミン活性はクロルフェニラミンに匹敵ないしはそれを上回る。
抗セロトニン作用
シプロヘプタジン塩酸塩はセロトニンによるイヌの血圧上昇,ラット摘出子宮の攣縮及びラット後肢の浮腫を抑制し,その抗セロトニン活性はLSD(lysergic acid diethylamide)やhydroxindasolに匹敵ないしはそれを上回る。
シプロヘプタジンは抗ヒスタミン薬ですが、添付文書の薬理作用のトップには【抗セロトニン作用】と書かれています!
過去には【食欲不振・体重減少の改善】の効能もあったようです!
オランザピンの添付文書より抜粋
ジプレキサ錠2.5mg/ジプレキサ錠5mg/ジプレキサ錠10mgの添付文書(PMDA)
オランザピンは、ドパミンD2タイプ(D2、D3、D4)、セロトニン5-HT2A,2B,2C、5-HT6、α1-アドレナリン及びヒスタミンH1受容体へほぼ同じ濃度範囲で高い親和性を示すが、ドパミンD1タイプ(D1、D5)やセロトニン5-HT3受容体へはやや低い親和性で結合する。
また、ムスカリン(M1、M2、M3、M4、M5)受容体への親和性はin vitroと比較してin vivoでは弱い。
オランザピンはこれらの受容体に対し拮抗薬として働く。更にオランザピンによる大脳皮質前頭前野でのドパミンとノルアドレナリンの遊離増加や、グルタミン酸神経系の伝達障害の回復も、オランザピンと複数の受容体との相互作用より引き起こされている可能性がある。
クエチアピンの添付文書より抜粋
セロクエル25mg錠/セロクエル100mg錠/セロクエル200mg錠/セロクエル細粒50%の添付文書(PMDA)
クエチアピンは、ラット脳組織を用いた試験で、ドパミンD1及びD2受容体、セロトニン5-HT1及び5-HT2受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1及びα2受容体に対して親和性を示したが、ムスカリン受容体及びベンゾジアゼピン受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった。
また、ドパミンD2受容体に比して、セロトニン5-HT2受容体に対する親和性は高かった(in vitro)。
考察
私の知識不足かもしれませんが、オランザピンやクエチアピンの高血糖については明らかになっていない部分があるとのことです!
少なくとも満腹中枢でのヒスタミンH1、H3受容体を介して食欲を抑制性の調節が報告されていたり、セロトニン5-HT2cへのシグナル伝達障害が過食や摂食行動との関わりが報告されております!
シプロヘプタジンの抗ヒスタミン作用、抗セロトニン作用やオランザピン・クエチアピンの セロトニン5-HT2 やヒスタミンH1受容体への親和性が食欲増加やそれによる高血糖に結び付く可能性は十分に考えられると思います!
参考文献
【ヒスタミンと食欲について】
【セロトニンと食欲について】
セロトニンシグナルと食欲調節機構(パネルディスカッション : 肥満・摂食障害の分子機構,2006年,第47回日本心身医学会総会(東京))(J-STAGE)
最後に
というわけで今回は、シプロヘプタジンとクエチアピン、オランザピンの構造の類似性について考察しました!
思えば新入社員として働き始めの時は、そもそもシプロヘプタジンは抗ヒスタミン薬のイメージしかなく、まさか抗セロトニン作用があるとは思ってもいませんでした!
青本には載ってたと思いますが、見逃していたんでしょうね…!
構造式から1つ1つ考察することを日々当たり前のように行えているわけではないのですが、ハーブとかに入っている成分を構造式から読み解いたりするのに、今になって役立っているなと感じています!
この記事が構造式も併せて考えるきっかけになれば幸いです!
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