補中益気湯と十全大補湯の違い【漢方・生薬比較】

くくたる@薬剤師
くくたる@薬剤師
こんにちは!
くくたる(twitter)です!

●ドラッグストアで9年目

●管理薬剤師歴:3~4年、1人薬剤師歴:2年

●中医学(漢方)を勉強して5年!

 2022年、国際中医師合格予定!

●シニアハーバルセラピスト

 日本感染症学会のコロナウイルスに対する漢方薬に対する考え方が公開され、症状別に漢方薬が紹介されました!

 その中でも予防として補中益気湯と十全大補湯が紹介されており、これらの漢方薬を正しく使用するためにも使い分けを知っておく必要があると思ったので今回はその紹介をします!

 ちなみに、気・血・津液・精の4つのみで、補中益気湯と十全大補湯の違いは説明できるため、今までの内容で十分理解できると思います!

 西洋薬と比較して、漢方薬は適応ではなく1人1人の証にあわせて薬剤選択を行うため、未知の病気に対して強みがありますが、誰にでも合うわけではないというところに注意をしていきたいです!

 漢方が苦手な方は、なるべく簡単に解説している動画もあるため、ブログの前に見ていただけるとわかりやすくなると思います!

補中益気湯とは

構成生薬

黄耆(オウギ)、白朮(ビャクジュツ)、人参(ニンジン)、当帰(トウキ)、柴胡(サイコ)、大棗(タイソウ)、陳皮(チンピ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、升麻(ショウマ)

どのような人に使うか?

気虚証

 気虚の時に出る症状ですね! 気を補給して気虚を改善します!

 気虚は疲れやだるさ、身体が冷える(温煦作用)、抵抗力が落ちる(衛気・防御作用)、やる気が出ない、食欲が落ちるなどの症状ですね! 

生薬の特徴

●黄耆・柴胡・升麻の組み合わせ! ※黄耆は単体でも、柴胡と升麻の組み合わせが大切!

 これらの組み合わせは、升提(しょうてい)作用といって、臓器などの下垂したものを持ち上げる作用が期待できます! だらんとした臓器が引き締まって持ち上がるイメージでしょうか!

 脱肛や胃下垂、子宮下垂などの時に補中益気湯が使われるのはこのためですね! 

●補気(気を補充する役割)のある生薬:黄耆、人参、白朮、大棗、甘草

 気を補うことで、全身的な機能面の改善が期待できますね! 元気にする薬というイメージにも納得!w

補中益気湯の効能・効果(市販薬)

 体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒

十全大補湯とは

構成生薬

人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、地黄(ジオウ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、センキュウ、桂皮(ケイヒ)、甘草(カンゾウ)

どのような人に使うか?

気血両虚証

 気虚と血虚の時に出る症状ですね! 気と血を補給して気虚・血虚を改善します!

 上と同じですが、気虚は疲れやだるさ、身体が冷える(温煦作用)、抵抗力が落ちる(衛気・防御作用)、やる気が出ない、食欲が落ちるなどの症状ですね!

 血虚は痩せる、貧血、顔色が青白い、筋肉のつり・けいれんなど、栄養が足りていないことで生じる症状・状況ですね!

生薬の特徴

●四物湯(しもつとう)+四君子湯(しくんしとう)+桂皮+黄耆の組み合わせ!

 四物湯は、地黄、当帰、芍薬、センキュウの4つからなります! 地黄、当帰、芍薬が血を補給する作用があり、センキュウが補給した血を全身に運ぶ役割をします!

 四君子湯は、人参、ソウジュツ、茯苓、甘草の4つからなります! 人参、甘草が気を補給し、ソウジュツと茯苓が水分代謝を改善します!

※脾は湿気に弱く、水分が溜まることで消化吸収の能力が落ち、消化吸収がうまくいかないと気が生成できないためですね!

 桂皮、黄耆について。黄耆は気を補給し、桂皮は内部から温め気や血を全身に巡るようにしてくれます!

十全大補湯の効能・効果(市販薬)

 体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血

まとめ

①補中益気湯は気を補給する! また、臓器を引き締め持ち上げる作用がある!

 気虚は食欲がないことなどから、気の生成が出来ずに起こるので、食欲不振で疲れやすい人は気虚を疑うといいと考えられます!

②十全大補湯は気と血を補給する! 痩せたという方は血虚もある可能性を疑う!

 同じく食欲不振や疲れやすさは共通ですが、さらに痩せてしまう、皮膚の乾燥や血色が悪い、目の疲れなどの血虚症状も現れる場合には十全大補湯が候補になると考えられます!

③気を補給(補気)する生薬:人参、黄耆、白朮、大棗、甘草

④血を補給(補血)する生薬:地黄、当帰、芍薬

 このあたりを覚えておくと違いの説明はできるようになると思います!!

※厳密には、甘草は補気作用というよりもバランスをとるための調整作用としての配合です。

※ソウジュツ≒白朮で、メーカーによってソウジュツだったり白朮だったりします! 違いは、ソウジュツは利水(水の流れを整える)作用がメイン、白朮は補気作用がメインで考えるといいかもです! ソウジュツで補気のイメージはありませんが、白朮は利水も行うイメージがあります!

市販薬で私のオススメの紹介

【オススメの理由】

①私が中医学を学ぶ上で非常に参考になる講義をしていただいたから。

②クラシエが大手メーカーであるから。

【注意点】

①治療中の病気がある方

②使用中のお薬がある方

③副作用やアレルギーを経験されたことがある方

 上記に当てはまる方は、医師や薬剤師に相談した上で使用の判断を行うようにしてください。

【服用期間】

 体質改善の場合はできれば14日間程度は服用を続けていただき、何かしらの変化があるか確認をしていただくと良いと思います。

補中益気湯

十全大補湯

※画像をクリックをすることで、amazon、楽天の商品ページにリンクします。

最後に

 というわけで、今回は補中益気湯と十全大補湯の違いについてでした!

 コロナウイルスの予防で紹介されてしまった2剤ですが、違いを理解してそれぞれの状況にあった漢方薬を紹介できるといいですね!! 爆買いだけはしていただきたくありませんが…。

 いきなり生薬を出したので覚えにくいかもしれませんが、補気や補血の生薬は覚えておくと後々楽になるかと思います!! 個人的には、四物湯は「とうき・しゃくやく・せんきゅう・じおう!」」の順で詠唱してたら自然に覚えられましたw

 余談ですが、十全大補湯が術後に使われるイメージが納得できるようであれば幸いです!

くくたる@薬剤師
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ではでは!!

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