八味地黄丸と六味地黄丸の特徴と違い【腎虚の漢方薬・生薬比較】

くくたる@薬剤師
くくたる@薬剤師

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【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年

【漢方薬・ハーブの資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

私が新人薬剤師の頃、八味地黄丸が新規で処方追加され「どんな薬?何に効くの?」と患者さんに聞かれて困った経験があります…。

その時は添付文書を見ながら患者さんの訴える症状と照らし合わせて、自信ないまま答えてしまいました。

あなたは服薬指導時にそういった経験があるでしょうか?

 

私はその経験が悔しくて漢方薬の勉強をしたことで、八味地黄丸や六味地黄丸は腎の機能を整える漢方薬であると理解できました!

腎の機能が低下することで、足腰の脱力感や耳鳴り、骨がもろくなる、認知機能が低下するなど、様々な老化症状が出てしまうのですよね…!

 

八味地黄丸と六味地黄丸は腎の機能を整えると書きましたが、今回はこれらの使い分けについて紹介したいと思います! 

ポイントは冷えと熱(ほてり)の鑑別をしっかり行うところです! 詳しくは下記で紹介していきます!

※老化症状以外もあるので、この記事を読んで老化だけに効く薬と考えてしまわないよう注意です!

 

六味地黄丸とは

構成生薬

地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)

 

どのような人に使うか?

腎陰虚の人

陰虚は、血・津液・精が足りていない状況ですね! 冷やす物質が足りていないため、のぼせや手足のほてりなど、熱の症状や乾燥症状が現れます!

また、腎と関連するのは骨・脳・髪の毛・耳・排尿・排便でしたね! 腎虚になるとこれらの働きが低下するため、骨粗鬆症、めまい、認知機能低下、耳鳴り(低音)白髪、排尿障害、排便障害が現れます。

総括すると、上の症状は更年期障害や老化症状で現れる症状ですね! 下記の市販薬の効能・効果と照らし合わせると納得しやすいと思います!

※注意点は、更年期障害と老化症状のみでイメージを固めないこと! ホルモン量が低下した場合など、若者でも使う状況は発生すると考えられるためです!

 

生薬の特徴

●腎陰・血を補給する生薬:地黄

※陰液は冷やす性質・潤す性質あり!

●気を補給する生薬:山薬

※ちなみに薬のように書いてありますが、食べ物でいうと山芋ですw

●固摂作用・肝腎を補う:山茱萸

※固摂作用は漏れ出ることを防ぐ。尿漏れも!

●熱を冷ます生薬:牡丹皮(活血作用も!)

※活血:血の巡りをよくする

●水分代謝をする生薬:沢瀉、茯苓

 

大まかに言うと、

①腎陰を補給と熱を冷ます生薬が含まれているため、ほてりなどの熱症状を抑える

②腎の気を補給・固摂を強化することで腎の機能改善・排尿障害などの状況を改善

③腎の機能を強化するため、老化現象の諸症状の改善

 

市販薬の効能・効果

体力中等度以下で、疲れやすくて尿量減少又は多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの次の諸症:排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、かゆみ、夜尿症、しびれ

八味地黄丸とは

構成生薬

地黃(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桂皮(ケイヒ)、附子(ブシ)

 

どのような人に使うか?

腎虚の人(腎陽虚・腎陰虚どちらもですが、腎陽虚>腎陰虚のイメージ)

陰虚は六味地黄丸で紹介したため、陽虚の紹介をします!

陽虚は気虚の1種で、気虚症状に加え、さらに温める作用が低下している状態です! 温める作用が低下しているため、手足の冷えや下腹部の冷えなど、冷えの症状が現れます!

臓器が冷えると機能が低下します。

総括すると、六味地黄丸の作用に温める作用を強化したイメージです! 温める所が八味地黄丸のポイントです!!

※注意点は、更年期障害と老化症状のみでイメージを固めないこと! ホルモン量が低下した場合など、若者でも使う状況は発生すると考えられるためです!

 

生薬の特徴

生薬構成は、六味地黄丸+桂皮+附子です!

●体を温める生薬:桂皮、附子

 

大まかに言うと、

①腎陰・腎陽どちらも補給する!

② 骨粗鬆症、めまい、認知機能低下、耳鳴り(低音)白髪、排尿障害、排便障害 など、六味地黄丸と共通の適用に、さらに手足やお腹の冷えを改善!

 

市販薬の効能・効果

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

まとめ

①六味地黄丸は腎陰を補給!(どちらかと言えば冷やす)

②八味地黄丸は腎陰+腎陽を補給!(温める)

③腎の不足が起こると、 骨粗鬆症、めまい、認知機能低下、耳鳴り(低音)白髪、排尿障害、排便障害 など

 

①~③を総括すると、③の共通症状にほてりや皮膚乾燥などの熱・乾燥があれば六味地黄丸、手足の冷えなどの冷えがあれば八味地黄丸で考えるとイメージしやすいと思います!

 

 

生薬比較表

六味地黄丸、八味地黄丸の生薬比較表

地黄丸シリーズまとめ

最後に

というわけで、今回は腎虚で使い分ける六味地黄丸、八味地黄丸について紹介しました!

今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします

 

漢方薬でうさんくさいと思うところは、あんな症状にもこんな症状にも効くように書いているところにあると思います…。

 

最初結び付かないとうさんくさく感じると思うのですが、少なくとも薬学を勉強するとき、甲状腺の機能やアドレナリンα、βの機能を勉強した時、ちんぷんかんぷんだったと思います!

 

勉強をしているうちにそういうものだと理解していくものだと私は思っているので、腎虚の症状が出たら、骨・脳・髪の毛・耳・排尿・排便の機能が低下するということをイメージできるようになると、服薬指導でしっかり自信をもって答えられるようになります!

 

くくたる@薬剤師
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