ピロリ菌検査時のPPIの休薬期間と理由!静菌作用とウレアーゼ活性について【プロトンポンプ阻害薬】

くくたる@薬剤師
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国際中医師
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※国際中医師は医師免許ではありません。

 

「ピロリ菌の除菌治療後、約2か月以降に再検査をする」

「再検査時はプロトンポンプ阻害薬(PPI)は中止しておく」

ご存じの方が多いと思いますが、中止をする理由についてはいかがでしょうか?

 

今回はPPIの休薬期間と休薬の理由について、文献等で調べた内容を紹介します!

 

ピロリ菌検査時のプロトンポンプ阻害薬(PPI)の休薬期間

通常、ピロリ菌の検査時は14日以上プロトンポンプ阻害薬(PPI)を休薬することとされています!

※H2ブロッカーについては休薬の必要なしと考えられています。

 

休薬の必要がある理由は検査結果で偽陰性が出る可能性があるためです!

抗体検査については休薬は不要と考えられています。

ピロリ菌除菌のプロトンポンプ阻害薬(PPI)の役割は?

①ピロリ菌は酸性条件では多くが定常期で存在!

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の作用で胃内pH が上昇することでヘリコバクター・ピロリが増殖期に移行してアモキシシリンに感受性となります!

 

②胃内でのクラリスロマイシンの非解離型(活性分子型)の増加!

胃粘膜層への移行の増加により抗菌活性が増強されるものと考えられております!

 

③メトロニダゾールの抗菌活性はpHに依存しない!

※オメプラール(オメプラゾール)インタビューフォーム参考

プロトンポンプ阻害薬(PPI)はピロリ菌に対して静菌作用がある?

ランソプラゾール等、ヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有するとされる薬剤が投与されている場合については感染診断の結果が偽陰性となるおそれがあるので、除菌前及び除菌後の感染診断の実施に当たっては、当該静菌作用を有する薬剤投与中止又は終了後2週間以上経過していることが必要である。

厚生労働省保険局医療課長通知保医発0221第31号

 

こちらは厚生労働省の「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」の文章の一部を引用しておりますが「ランソプラゾール等、ヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有するとされる薬剤」と記載がありますね!

 

すべてのプロトンポンプ阻害薬(PPI)に当てはまるのか調べてみたところ、オメプラゾールについての文献とボノプラザンの情報が見つかりました!

 

オメプラゾールについて(PMID: 9659264)

オメプラゾールはH pyloriに対して殺菌・静菌効果を発揮し、細菌の細胞外ウレアーゼ活性を競合的に阻害することが示唆された。

※DeepLの翻訳機能を利用しています。

 

ボノプラザン(タケキャブ)について

タケキャブ錠は、ヘリコバクター・ピロリの静菌作用、ウレアーゼ阻害活性を有していません1)

抗菌薬、PPI(プロトンポンプ阻害薬)、P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)や一部の防御因子増強薬などが、ヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤、ウレアーゼ活性に影響する薬剤と考えられています2)

タケキャブ錠 くすりの相談FAQ | くすりの相談Q&A |製品情報|【公式】武田薬品工業 医療関係者向け情報 Takeda Medical site

感染診断までのタケキャブ錠の休薬期間について:
タケキャブ錠は静菌作用はありませんが、従来のPPIと同様に服用中止後、2週間以降にヘリコバクター・ピロリ感染診断を行うことをお勧めします2)

タケキャブ錠 くすりの相談FAQ | くすりの相談Q&A |製品情報|【公式】武田薬品工業 医療関係者向け情報 Takeda Medical site

新しい酸分泌抑制薬P-CAB(ボノプラザン)には抗菌薬活性はないとされていますが、ウレアーゼ活性を阻害し尿素呼気試験に影響するとされています1)

日本ヘリコバクター学会 – ガイドラインQ&A

 

ボノプラザン(タケキャブ)については、製品情報では「ウレアーゼ活性を有していない」と記載されており、日本ヘリコバクター学会では「ウレアーゼ活性を阻害する」と記載があるため、どちらが正しいか判断が難しいです…!

ただ、ボノプラザンも検査時には休薬期間を14日以上あけることとされているため、除菌後の服用タイミングには注意が必要ですね!

 

プロトンポンプ阻害薬のピロリ菌に対しての静菌作用まとめ

●従来のPPIはピロリ菌に対して静菌作用やウレアーゼ阻害活性があると考えられている!

●ボノプラザンについては静菌作用はないが、従来のPPI同様に検査日の14日以上は服用を中止する!

参考文献

インターネット

Omeprazole may exert both a bacteriostatic and a bacteriocidal effect on the growth of Helicobacter pylori (NCTC 11637) in vitro by inhibiting bacterial urease activity(PMID:9659264)

日本ヘリコバクター学会 – ガイドラインQ&A

タケキャブ錠 くすりの相談FAQ | くすりの相談Q&A |製品情報|【公式】武田薬品工業 医療関係者向け情報 Takeda Medical site

オメプラゾール錠インタビューフォーム※PDF直リンク

厚生労働省保険局医療課長通知保医発0221第31号※PDF直リンク

 

書籍

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メディック メディア

最後に

というわけで、今回はピロリ菌検査時のPPIの休薬期間と静菌作用、ウレアーゼ活性についてでした!

 

理由がわかれば、疑義紹介の時などに自信を持って伝えることができますね!

 

 

くくたる@薬剤師
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