こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
清肺湯と辛夷清肺湯って名前似てますよね…?
「どちらも清肺湯って書いてあるし、同じような薬なんでしょ?」
と思っていたり、聞かれて困ったことがある方に向けて、今回は違いについて紹介したいと思います!
こういう違いを少しでも伝えられると、薬剤師(または登録販売者)の信頼も上がると思います!
なるべくわかりやすくを心がけておりますので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです!!
今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします
清肺湯(せいはいとう)
清肺湯の構成生薬
当帰(トウキ)、麦門冬(バクモントウ)、茯苓(ブクリョウ)、黄芩(オウゴン)、桔梗(キキョウ)、杏仁(キョウニン)、山梔子(サンシシ)、桑白皮(ソウハクヒ)、大棗(タイソウ)、陳皮(チンピ)、天門冬(テンモンドウ)、貝母(バイモ)、甘草(カンゾウ)、五味子(ゴミシ)、生姜(ショウキョウ)、竹茹(チクジョ)
清肺湯の生薬の特徴
●清熱・燥湿作用のある黄芩、山梔子が含まれている!
熱を冷まし、湿気を取り去る作用が期待できます。
※清熱=炎症を鎮める作用も含まれます。
●補陰を行う麦門冬、天門冬が含まれてる!
喉や肺、気管支の乾燥を潤わせる作用が期待できます。
天門冬はさらに、清熱・化痰(熱を冷まし痰を分解する)作用も期待できます。
●清熱・化痰作用のある貝母、竹茹が含まれている!
熱を冷まし痰を分解する作用ですね! 補陰に記載した天門冬も清熱化痰作用が期待できます!
●止咳平喘作用のある杏仁、五味子が含まれている!
咳を鎮める作用ですね!
五味子については、収渋作用により陰液が漏れ出るのを防ぐ作用もあります。
●水滞・気滞を解消する生薬が含まれている!
水滞は茯苓の利水作用、気滞は陳皮や生姜が解消を手伝います! また、燥湿作用のある生薬は湿を除去するためこれも水滞対策になると考えられます。
清肺湯の効能・効果(市販薬)
体力中等度で、せきが続き、たんが多くて切れにくいものの次の諸症:たんの多く出るせき、気管支炎
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
辛夷清肺湯の配合生薬
知母(チモ)、黄芩(オウゴン)、辛夷(シンイ)、百合(ビャクゴウ)、山梔子(サンシシ)、升麻(ショウマ)、麦門冬(バクモンドウ)、石膏(セッコウ)、枇杷葉(ビワヨウ)
辛夷清肺湯の生薬の特徴
●鼻の通りを良くする辛夷が配合されている!
辛夷は宣肺通鼻と言って、鼻の通りを良くする生薬です! 副鼻腔炎や蓄膿症に使用されるのも納得ですね!
※辛夷清肺湯には含まれておりませんが、細辛も鼻の通りを良くします!
●清熱・生津を行う知母が配合されている!
清熱は熱を冷ます効果、生津は津液(陰液)を生み出す効果です。
※清熱=炎症を鎮める作用も含まれます。
知母は潤いを与えて冷やす生薬と覚えると他の漢方薬で出てきた時にもイメージしやすいと思います。
●清熱・燥湿作用のある黄芩、山梔子が含まれている!
清肺湯にも含まれておりますね! 熱を冷まします。
●清熱作用が特に強い石膏が含まれている!
●陰液を補う麦門冬、百合が含まれている!
●化痰作用のある枇杷葉が含まれている!
辛夷清肺湯の効能・効果(市販薬)
体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
まとめ
共通する生薬は黄芩、山梔子、麦門冬ですね!
黄芩、山梔子は清熱作用、麦門冬は補陰(陰液の補充)をします。
※清熱=炎症を鎮める作用も含まれます。
肺の機能については別記事で紹介しているため、そちらを参照していただけると助かりますが、ざっくり言うと中医学での肺の機能=口鼻含めた呼吸機能です。
つまり清肺湯は、肺の熱を鎮める漢方薬と考えるとわかりやすくなると思います!
清肺湯
肺の熱を冷ます+補陰(陰液を補う)+化痰(痰の分解)+止咳平喘(咳を鎮める)
=肺の熱を冷まし、べたつく痰がらみを解消して咳を改善する!
辛夷清肺湯
肺の熱を冷ます+補陰(陰液を補う)+宣肺通鼻(鼻の通りを良くする)
=肺の熱を冷まし、鼻腔が乾燥した状況の鼻詰まりを改善する!
市販薬で私のオススメの紹介
【注意点】
①治療中の病気がある方
②使用中のお薬がある方
③副作用やアレルギーを経験されたことがある方
④妊婦・授乳婦の方
上記に当てはまる方は、医師や薬剤師に相談した上で使用の判断を行うようにしてください。
清肺湯
辛夷清肺湯
最後に
というわけで、今回は清肺湯と辛夷清肺湯の違いについて、生薬の違いから紹介しました!
共通する部分は肺の熱を冷まし陰液を補う点ですが、ぞれぞれ咳をターゲットとするか鼻詰まりをターゲットとするかの違いがありましたね!!
コメント