【咳】清肺湯、麦門冬湯、五虎湯、麻杏甘石湯の特徴と違い【漢方・生薬比較】

くくたる@薬剤師
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【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年

【漢方薬・ハーブの資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

風邪の漢方薬や咳止めの漢方薬って、使い分け難しいと感じてしまいませんか?

 

咳とひとことで言っても、強い咳や弱い咳、乾燥した咳や水溶性の痰が絡まった咳などなど、色々な種類がありますよね。

 

そこで今回は、漢方薬の咳止めの4種類を比較・紹介しようと思います。

 

くくたる@薬剤師
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ポイントとして「急性か慢性か」「時間の経過」「熱性、乾性かなど」の区別ができれば大きく外れることはないので、イメージを持つことが大切です!

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

 

配合生薬

麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、甘草(カンゾウ)、石膏(セッコウ)

 

生薬の特徴

●麻黄と杏仁の組み合わせ!

 麻黄と杏仁の組合せは鎮咳作用をパワーアップさせます!

●麻黄と石膏の組み合わせ!

 麻杏甘石湯は、熱性の咳を冷やすことで鎮静化させるイメージを持つと良いと思います。

 ちなみに熱性の咳は、お風呂やお布団等で温まると出る咳や、咳の勢いが強くて咳こむと顔が赤くなるような咳のことです。

 麻黄=熱を高めて発汗を促すというイメージがあると、冷やすイメージに納得が行かないと思います。

 たしかに麻黄は熱性の生薬ですが、石膏は寒性(大寒)の生薬のため、全体としては冷やす作用が期待できる漢方薬となります!

 

麻杏甘石湯の効能・効果(市販薬)

 体力中等度以上で、せきが出て、ときにのどが渇くものの次の諸症:せき、小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、感冒、痔の痛み

五虎湯(ごこうとう)

 

配合生薬

麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、桑白皮(ソウハクヒ)、石膏(セッコウ)、甘草(カンゾウ)

 

生薬の特徴

 上で紹介した麻杏甘石湯に桑白皮が加わった漢方薬です!

 そのため、麻黄+杏仁、麻黄+石膏の組合せで熱性の咳の改善が期待できます!

 桑白皮はさらに寒性で止咳平喘(咳を抑える)、利水消腫(腫れを鎮める)の効果があるのでその分強化されると考えられます!!

 しかし、漢方薬については生薬の数が少ないほど作用がシャープに、生薬の数が多いほど作用がマイルドになる傾向があるとされております。

 クラシエのホームページでは

「典型的な喘息発作がおこっているときはあまり個人差がないため、まずは麻杏甘石湯を使っても大きな間違いはありません。」

と記載がありましたので、引用します。

 

五虎湯の効能・効果(市販薬)

 体力中等度以上で、せきが強くでるものの次の諸症:せき、気管支ぜんそく、気管支炎、小児ぜんそく、感冒、痔の痛み

清肺湯(せいはいとう)

 

配合生薬

当帰(トウキ)、麦門冬(バクモントウ)、茯苓(ブクリョウ)、黄芩(オウゴン)、桔梗(キキョウ)、杏仁(キョウニン)、山梔子(サンシシ)、桑白皮(ソウハクヒ)、大棗(タイソウ)、陳皮(チンピ)、天門冬(テンモンドウ)、貝母(バイモ)、甘草(カンゾウ)、五味子(ゴミシ)、生姜(ショウキョウ)、竹茹(チクジョ)

 

生薬の特徴

●清熱・燥湿作用のある黄芩、山梔子が含まれている!

 熱を冷まし、湿気を取り去る作用が期待できます。

※清熱=炎症を鎮める作用も含まれます。

●補陰を行う麦門冬、天門冬が含まれてる!

 喉や肺、気管支の乾燥を潤わせる作用が期待できます。

 天門冬はさらに、清熱・化痰(熱を冷まし痰を分解する)作用も期待できます。

●清熱・化痰作用のある貝母、竹茹が含まれている!

 熱を冷まし痰を分解する作用ですね! 補陰に記載した天門冬も清熱化痰作用が期待できます!

●止咳平喘作用のある杏仁、五味子が含まれている!

 咳を鎮める作用ですね!

 五味子については、収渋作用により陰液が漏れ出るのを防ぐ作用もあります。

●水滞・気滞を解消する生薬が含まれている!

 水滞は茯苓の利水作用、気滞は陳皮や生姜が解消を手伝います! また、燥湿作用のある生薬は湿を除去するためこれも水滞対策になると考えられます。

 

清肺湯の効能・効果(市販薬)

 体力中等度で、せきが続き、たんが多くて切れにくいものの次の諸症:たんの多く出るせき、気管支炎

麦門冬湯(ばくもんとうとう)

 

配合生薬

麦門冬(バクモンドウ)、粳米(コウベイ)、半夏(ハンゲ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、人参(ニンジン)

 

生薬の特徴

●補陰(陰液を補う)麦門冬が主体!

 喉や肺、気管支の乾燥を潤わせる作用が期待できます。

●補気(気を補う)生薬が入っている!

 咳が続いていると体力がなくなってきて疲れてしまいますよね? 咳が続くことで肺の機能低下が生じてしまうため、補気作用のある生薬で肺の機能を整えることが大切になります。

 補気薬としては、人参や黄耆が代表格で、大棗や甘草はサポート的なイメージです。

 今回の咳止めの漢方で言うなら、人参が含まれているのは麦門冬湯のみなので、特徴の1つです!

●化痰(痰を分解)する半夏が含まれている!

 半夏が含まれているため痰を分解したり、麦門冬のベタつきをなくす作用も期待できます。

 

麦門冬湯の効能・効果

 体力中等度以下でたんが切れにくく、ときに強くせきこみ、又は咽頭の乾燥感があるものの次の諸症:からぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声

まとめ

麻杏甘石湯

 即効性の期待できる、比較的急性で勢いのある咳の方に!(熱性の咳)

 熱性の咳は、お風呂やお布団等で温まると出る咳や、咳の勢いが強くて咳こむと顔が赤くなるような咳のことです。

 

五虎湯

 即効性の期待できる、比較的急性で勢いのある咳の方に!(熱性の咳)

 麻杏甘石湯との違いは、桑白皮が追加されている点!

 桑白皮は寒性で止咳平喘(咳を抑える)、利水消腫(腫れを鎮める)の効果が期待できます!

 どちらも熱性の咳を抑えるため、大きく違う感じではないと考えられます!

 

清肺湯

 清熱作用(熱を冷ます)、化痰作用(痰を分解)を行う生薬が多数配合されており、補陰(肺に潤いを与える)をする生薬も含まれる。

 やや長引き始めた咳で、痰がらみやべたつきが多い咳の方に!

 

麦門冬湯

 補陰(肺に潤いを与える)、補気(気を補う)を行う生薬が含まれている点が特徴!

 長引く咳で喉や肺の乾燥感が生じたり、力がない咳(疲れ果てた咳)が出ている方に!

市販薬で私のオススメの紹介

【注意点】

①治療中の病気がある方

②使用中のお薬がある方

③副作用やアレルギーを経験されたことがある方

④妊婦・授乳婦の方

上記に当てはまる方は、医師や薬剤師に相談した上で使用の判断を行うようにしてください。

 

麻杏甘石湯

 

五虎湯

 

清肺湯

 

麦門冬湯

最後に

というわけで、今回は咳で使われる漢方薬の比較の紹介でした!

今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします

 

 冒頭で紹介したように、急性の強い咳か、長引いた弱々しい咳かなど、咳の性質を確認することが大切となります!

 相手の咳の状態に応じて適切に選べるよう相手の話を聞くことも重要ですね!

くくたる@薬剤師
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