こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【ハーブ・アロマの資格】
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
●アロマテラピー検定1、2級
●国際中医師
※国際中医師は医師免許ではありません。
コルペルミンという、ペパーミントオイルを主成分とする過敏性腸症候群の市販薬が販売されましたね!
メディカルハーブの情報はあまり周知されている印象がないため「ペパーミントがなぜ過敏性腸症候群に良いのか?」と疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は「ペパーミントがなぜ過敏性腸症候群(IBS)に使われるのか」「医薬品のコルペルミンの注意事項の理由がなぜなのか」について、私がわかる範囲で紹介します!
コルペルミンが食前・空腹時に服用される理由や制酸剤と併用ができない理由などについても触れておりますので、最後まで見ていただけたら幸いです!
ちなみにペパーミントは日本薬局方(第7改正)では収載されていましたが、現在は収載されていないようです!
ペパーミントの基礎情報
学名:Mentha piperita
科名:シソ科
使用部位:葉部
ペパーミントの主要成分
精油:l-メントール、メントン、メントフラン
フラボノイド:アピゲニン、ルテオリン
シソ科タンニン
フェノール酸:カフェ酸、クロロゲン酸、ロスマリン酸
ペパーミントの作用と適応
作用:鎮痙、駆風、利胆、賦活のち鎮静
適応:過敏性腸症候群、腹部膨満感、鼓腸、食欲不振、眠気・集中力欠如などの精神神経症状
※あくまでもメディカルハーブとしての情報です。
治療効果による検討は様々で、
「ペパーミントオイルとプラセボは両方とも、IBS症状の臨床的に意味のある改善を示しました。ただし、グループ間に有意差はありませんでした。(PMID:34319275)」
「IBS患者を対象とした無作為化試験において、米国食品医薬品局/欧州医薬品庁推奨のエンドポイントを用いた場合、小腸放出型ペパーミントオイルも回腸放出型ペパーミントオイル(8週間)も、腹痛反応や全症状緩和において統計的に有意な減少をもたらさないことがわかりました。しかし、小腸放出型ペパーミントオイルは、腹痛、不快感、IBSの重症度を有意に減少させました。(PMID:31470006)」
こういった報告なども存在しますので、新発売の医薬品 → 過敏性腸症候群の特効薬という感じではない点には注意が必要ですね!
過敏性腸症候群と診断されたことがある方で、現在は無治療で症状が再発したので何か使ってみたい!
セレキノン(トリメブチン)はあまり効かなかった!
このような場合に紹介できると個人的には考えています!
してはいけないこと(本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も服用しないでください)の項目で、過敏性腸症候群 ( IBS ) の症状改善薬が含まれているため、すでに治療中で何か飲んでいる人の追加服用はしないようにしてください!
その他作用に関する情報
メディカルハーブの事典 改訂新版 主要100種の基本データでは、
ペパーミントの精油は平滑筋に直接的に作用し、カルシウムイオンの調整を行って局所に鎮痙作用を発揮すると記載があります!
また、Efficacy of Peppermint oil in diarrhea predominant IBS – a double blind randomized placebo – controlled study(PMID:23416804)では、
ペパーミントオイルは揮発性油で、その有効成分はメントール、環状モノテルペンを含み、腸平滑筋のカルシウムチャンネルを遮断することで抗けいれん作用を持つという報告があります!
コルペルミンの効能・効果
過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和: 腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘 ( 以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)
ペパーミントの安全性・相互作用
安全性:クラス1(適切に使用すれば安全)
相互作用:クラスA(相互作用が予測されない)
禁忌:胆石
※あくまでもメディカルハーブとしての情報です。
その他安全性・相互作用の情報
●ペパーミントオイルはin vitroでシクロスポリンの代謝を阻害する報告があります!(PMID:11782899)
●ペパーミントオイルの考えられる副作用:胸焼け、吐き気、腹痛、口渇やアレルギー反応などがあります!
●ペパーミントオイルは胸焼けの可能性を減らすために腸溶コーティングされることが多く、腸溶性コーティングされたペパーミントオイルカプセルを制酸剤と同時に服用するとコーティングが早く壊れる可能性があります!
●下痢などで腸輸送時間が短縮する状況では、肛門の炎症を引き起こすことがあるという報告があります!
安全性はクラス1、相互作用はAに分類されておりますが、シクロスポリンの代謝阻害の可能性があったり、制酸剤で胸やけのリスクが上がる可能性があるので注意はしておく必要があります!
コルペルミンの注意事項
大前提として、医師から過敏性腸症候群の診断・治療を受けたことがない人は服用できませんので注意が必要です!
※あくまでも一部の抜粋のため、添付文書は確実に読む必要があります!
してはいけないことの一部抜粋
①医療機関で次の治療を受けている人:肝臓病、胆管閉塞、胆のう炎
→メディカルハーブとしてのペパーミントでも胆石が禁忌のため特に注意が必要だと考えております!
②著しく胃酸が少ない状態が持続する人 (無酸症 ) 。
③本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も服用しないでください:過敏性腸症候群 ( IBS ) 症状改善薬、制酸剤
→②③合わせて、胃酸が少ない状態により胸やけのリスク低下のための腸溶性コーティングが早く溶ける可能性があるためです!
相談することの一部抜粋
①2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この添付文書を持って医師又は薬剤師に相談してください
②症状の改善がみられても3ヵ月を超えて続けて服用する場合は、医師に相談してください
→あくまでも過敏性腸症候群(IBS)の診断を受けたことがある方で現在無治療の方が使用できる薬であるため、2週間で効果が感じられない場合や3ヶ月を超えるほど長期的に症状をコントロールする必要があれば、受診する必要があります!
ペパーミントの服用方法
ペパーミントの葉について、1回2~3gを熱湯150mLで5~10分抽出して服用。1日3回まで。
ペパーミントと相性の良いブレンド
●ペパーミントとキャラウェイ
●ペパーミントとジャーマンカモミール
などが知られています!
コルペルミンの服用方法
1回1カプセル、1日3回食前又は食間に服用。
【食前・食間の理由】
腸溶性コーティングされたペパーミントオイルのカプセルを制酸剤と同時に服用すると、コーティングが早く壊れる可能性があるためです!
コルペルミン_ゼリア新薬工業株式会社_審査報告書のロ-2製剤の項目に「腸溶性コーティングを施した製剤である」と記載があります!
参考文献
参考文献をインターネットと書籍に分けて紹介します!
インターネット
コルペルミン_ゼリア新薬工業株式会社_審査報告書※PDF直リンク
書籍
メディカルハーブの事典 改訂新版 主要100種の基本データ
メディカルハーブ ハーバルセラピストコース・テキスト 第6版
最後に
というわけで今回は、過敏性腸症候群(IBS)の市販薬で発売されたコルペルミン(ペパーミント)の情報についてまとめました!
ハーバルセラピストやシニアハーバルセラピストでハーブの勉強を取り入れておいてよかったなと実感できて、地味に嬉しかったです!
ハーブ医薬品が増えていけば、健康増進のためのハーブティーに興味を持っていただく機会が増えると思うので、今後が楽しみですね!