デキストロメトルファンはMAO-B阻害薬に禁忌?疑義照会は?セロトニンとドパミンに対する機序

くくたる@薬剤師
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【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年

【その他資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

医療用のメジコン(デキストロメトルファン)にはMAO阻害薬投与中に禁忌と記載があるのに対し、MAO-B阻害薬であるセレギリンではデキストロメトルファンの記載がなく、ラサギリン、サフィナミドでは併用注意と記載がされている点について気になったので添付文書やインタビューフォームを参考に調べました!

 

調べた上での私の結論は「セレギリン、ラサギリン、サフィナミド等MAO阻害薬とデキストロメトルファンが被る場合はすべて疑義照会をする」です!

 

くくたる@薬剤師
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そのように考えるに至った経緯を「セロトニンに関する話」「ドパミンに関する話」に分けてそれぞれ紹介します!

MAO-AとMAO-Bの違いは?

そもそもMAO-A、MAO-Bはそれぞれ何を代謝するか覚えていますか?

念のため確認をしていきたいと思います!

 

MAO-Aを阻害すると?

ノルアドレナリン(NAd)とセロトニン(5-HT)の濃度が上昇します!

MAO-Aはノルアドレナリンとセロトニンの代謝に関与しています!

 

MAO-Bを阻害すると?

脳内ドパミンの濃度が上昇します!

MAO-Bはドパミンの代謝に関与しています!

 

くくたる@薬剤師
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つまり、セロトニンの濃度が上昇するのはMAO-Aが阻害された場合ですね!

メジコン(デキストロメトルファン)の併用禁忌の記載

医療用のメジコン(デキストロメトルファン)にはMAO阻害薬投与中に禁忌と記載があります!

※MAO-A、MAO-Bの記載はなし

 

併用禁忌の理由

「デキストロメトルファンは中枢のセロトニン濃度を上昇させる。」

MAO阻害剤はセロトニンの代謝を阻害セロトニンの濃度を上昇させる。

デキストロメトルファンの添付文書にはこのように記載があります!

 

この文面を見る限りではセロトニンの代謝に関与しているのはMAO-A阻害薬のため、MAO-B阻害薬については問題ないような気がしますよね…?

 

くくたる@薬剤師
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備忘録として、デキストロメトルファンがセロトニン濃度を上げる作用機序について下記に記載しておきます!

メジコン(デキストロメトルファン)がセロトニン濃度を上昇させる機序

デキストロメトルファンはシナプスにおけるセロトニン取込みを阻害するため神経及び脳・脊髄のセロトニン濃度を上昇させることがある。

 

このようにインタビューフォームには記載があります!

MAO-B阻害薬の選択性について

MAO-B阻害薬の選択性の程度によってはMAO-Aも阻害されてしまう可能性があり、結果としてセロトニン濃度が上昇してしまう可能性が考えられますので調べてみました!

 

セレギリンのMAO-B選択性

過量投与によりMAO-B選択的阻害作用が低下し、非選択的MAO阻害による副作用が発現することがあると考えられる。

 

ラサギリンのMAO-B選択性

本剤3〜100mgの過量投与により軽躁、高血圧クリーゼ、セロトニン症候群等の症状が報告されている。

 

サフィナミドのMAO-B選択性

サフィナミドのMAO-Bに対する阻害作用は、MAO-A阻害作用よりヒト脳で約1000倍強かった(IC50)。

過量投与の設定がされていない。

 

ちなみにこれらの選択性については別の記事で詳細をまとめておりますので、興味がある方はコチラの記事も見ていただけると助かります!

MAO-B阻害薬の選択性の比較と選択性低下の可能性【セレギリン、ラサギリン、サフィナミド】

 

くくたる@薬剤師
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ここまではセロトニンがメインの話でしたが、続いてデキストロメトルファンがドパミン濃度に影響する可能性について紹介します!

メジコン(デキストロメトルファン)がドパミン濃度に影響する可能性

デキストロメトルファンの添付文書には記載がありませんが、デキストロメトルファンはNMDA受容体を阻害する作用が報告されています!

 

本当にそんな作用があるのか私の知識が足りていなかったので、NMDA受容体阻害薬であるメマンチンの添付文書を確認してみました!

メマリー(メマンチン)の添付文書の相互作用の項目

デキストロメトルファンとドパミンに関する記載がそれぞれありますので順に紹介します!

 

デキストロメトルファンのNMDA受容体拮抗作用

NMDA受容体拮抗作用を有する薬剤:アマンタジン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物等

 

くくたる@薬剤師
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このように記載がありますので、どうやらデキストロメトルファンはNMDA受容体阻害作用があると考えられますね!

 

ドパミンとNMDA受容体拮抗作用に対する相互作用

ドパミン作動薬(レボドパ等:NMDA受容体拮抗作用が、ドパミン遊離を促進させる可能性がある。

 

くくたる@薬剤師
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このように記載がありますので、デキストロメトルファンはNMDA受容体阻害作用があると考えられる以上、ドパミン遊離を促進させる可能性があると考えられますね!

(程度は不明ですが…)

まとめ

●デキストロメトルファンはMAO阻害薬に禁忌!(MAO-A、MAO-B記載なし)

●デキストロメトルファンはセロトニン濃度を上昇させ、MAO-Aはセロトニンの代謝に関与している!

●MAO-B阻害薬ではあるがセレギリンは選択性低下の懸念がある!

●デキストロメトルファンはNMDA受容体阻害作用があると考えられ、ドパミンの遊離を促進させる可能性がある!

●MAO-Bはドパミンの代謝に関与している!

 

以上より、デキストロメトルファンはMAO阻害薬との併用時には疑義紹介をする必要があると私は考えます!

参考文献(PMDA)

インターネット、書籍それぞれの参考文献を記載します!

 

インターネット

メジコン錠15mgの添付文書

メジコン錠15mgのインタビューフォーム※PDF直リンク

メマリー錠の添付文書

エフピーOD錠2.5の添付文書

エフピーOD錠2.5のインタビューフォーム※PDF直リンク

アジレクト錠1mg/0.5mgの添付文書

アジレクト錠1mg/0.5mgのインタビューフォーム※PDF直リンク

エクフィナ錠50mgの添付文書

エクフィナ錠50mgのインタビューフォーム※PDF直リンク

 

書籍

最後に

というわけで、今回はメジコン(デキストロメトルファン)とMAO阻害薬の禁忌・疑義照会についての考察を紹介しました!

 

最後の最後ですが、実は市販薬のメジコンせき止め錠Proの使用上の注意にはセロトニンに関する記載がされていないんですよね…!

医師の治療を受けている人は医師・薬剤師に相談することと記載はあるのですが、2類医薬品はパッケージだけ見て購入できてしまうため、購入時に相談していただけるよう信頼関係を築かなければなりませんね!

 

くくたる@薬剤師
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