ピロリ除菌時の胃酸の影響【クラリスの用量と喫煙のリスク】

 こんにちは! くくたるです!!

 今回は過去に別のブログで書いていたピロリ除菌の記事について、書き直した記事となります。

 ボノサップやランサップの400と800の違いについて疑問に思っていた時期があり、それを調べたり考察した内容になります。

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ピロリ菌の一時除菌で使用される薬

プロトンポンプ阻害薬(PPI or P-CAB)

アモキシシリン(AMPC)750mg/日

クラリスロマイシン(CAM)400mg or 800mg/日

の3セットですね!

疑問に思ったこと

 先日、タケキャブ20mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン400mgで喫煙歴がある方への処方がありました。

 ランサップ400と800の使い分けが喫煙の有無という話を聞いたことがあり、400と800の違いはクラリスロマイシンの含有量の違いのため、クラリスの販売元である大正富山製薬に質問をしてみました。

 しかしその回答は

「ピロリ除菌におけるクラリスの用量における有意差はほとんどない」

とのことでした。

 そうなると、ランサップでの話はなんなのか? と疑問に…。

 ランサップの添付文書・インタビューフォームを確認してみたところ、添付文書の薬効薬理にそれらしい記載があり、厚生労働省のHPにも喫煙による胃への影響についての記載もありましたので、下記に引用します。

ランサップの添付文書の一部抜粋

 クラリスロマイシンの抗菌力はpHの影響を受け、酸性では中性に比べて減弱する。一方、アモキシシリン水和物はクラリスロマイシンと比べてpHの影響は少ない。

厚生労働省のHP(胃潰瘍 | e-ヘルスネット 情報提供)

 喫煙は胃酸の分泌を多くするため粘膜に対する攻撃因子となり、同時にニコチンが粘膜の血流を妨げるため防御因子を低下させるという二重の意味で悪影響を及ぼします。喫煙者ではヘリコバクター・ピロリ(後述)の感染率が高くなるというデータもあります。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-002.html

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以上より考察

 喫煙をしている場合、胃酸過多傾向によりクラリスロマイシンが400mg、800mgであろうが同様に除菌率を下げる。

という感じでしょうか? こう考えれば、クラリス400と800による有意差がないという製薬会社の返答にも納得がいきますかね・・・。 無理やり自分を納得させようと思ってしまいます。

 喫煙した時に出る反応であるため、ピロリ除菌を行う7日間だけでも禁煙を徹底した方が除菌率を高めることができると考えられます。

 また、pHは空腹時より食後の方が高くなるため、食後30分以内の服用を徹底していただくことも重要と考えられます。

 医師の考えにもよるものなので薬剤師として提案する機会は少ないかもですが、PPIとP-CABを比較するとP-CAB(タケキャブ)の方が効果が現れる時間が早いと言われていることから、胃酸分泌抑制薬はボノプラザン(商品名:タケキャブ)が理想的な感じがします。PPIで選ぶとしたら、個人差の大きいCYP2C19の影響が少なく、IC50の大きなラベプラゾール(先発医薬品名:パリエット)でしょうかね。状況によるでしょうが。

最後に

 ピロリ除菌は禁煙や服用コンプライアンスが除菌率を高めるために大切です。薬局でしっかり患者様にお伝えして、一次除菌で退治しきれるようにしたいところです。

 除菌後、1~2か月で除菌判定を行うようですが、PPI等で胃酸分泌を抑制すると判定をマスクしてしまうことがあるので、普段から胃薬を服用されているような方には除菌後の胃薬の服用について医師から指示を受けているか確認することも重要です。

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 ではでは!!

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