こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素の作用機序や半減期などの情報をご存じでしょうか?
「眠くなる成分であることは知ってるけど…」
「市販の睡眠薬としてだったり、鎮痛薬の補助で使用されることは知ってるけど…」
私は恥ずかしながら、この程度の知識しかありませんでした…。
ちなみに私が所持している青本2012では、
●ブロモバレリル尿素:催眠および鎮静作用発現が早く、持続時間の短い催眠作用を現す。
●アリルイソプロピルアセチル尿素:情報なし
という感じでした。
そこで今回は、市販薬のプロとしてしっかり情報提供できるよう勉強をし直しましたので、その情報を共有したいと思います!
構造式から作用機序を考察
アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロモバレリル尿素共にバルビツール酸系に似ているということは聞き覚えがあったので、構造式からどのように似ているのか考察をしました!
バルビツール酸との比較
これだけで見ると、尿素(NH2-CO-NH2)の部分は似てるかな(?)という印象ですね!
それぞれ、見方を変えてみます!
ブロモバレリル尿素の構造式
NH3の形はsp3混成軌道のため、CH4と同じように回転させることができますので回転させると、
このような形になります!
先程のバルビツール酸と比べると、かなり構造が似ていますよね!
※この状態で安定するかは不明です。ただ、数ある形の1つとして、この状態にもなると考えられます。
アリルイソプロピルアセチル尿素の構造式
ブロモバレリル尿素と同様に回転させると、
こちらもかなりバルビツール酸に似た構造になりますね!
バルビツール酸骨格の構造活性相関
バルビツール酸骨格の構造活性相関について青本を参考にすると、
①C5位の側鎖にアルキル基、あるいはアリル基がないと催眠作用は得られない。
②C5位の側鎖(R1+R2)の炭素数を増すと催眠作用が強く現れる。
etc…
という記載があります!
ブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素について、バルビツール酸でいうところのC5の部位を見てみましょう!
①ブロモバレリル尿素:イソプロピル基
②アリルイソプロピルアセチル尿素:イソプロピル基とアリル基
それぞれありますね!
ちなみに作用自体はバルビツール酸系と比べて弱いと考えられており、
これは先程回転させた構造で維持することが難しいというのが理由の1つではないかと私は考えております。
インタビューフォームの記載
ブロバリン原末、カフコデN配合錠(ブロモバレリル尿素)
【作用機序】
大脳皮質の機能を抑制するとともに上行性脳幹網様体賦活系を抑制して催眠・鎮静作用を現す。
【薬物動態】
半減期(t1/2):約2.5(h)
最高血中濃度到達時間(Tmax):0.85±0.70(h)
※半減期はインタビューフォームの動態グラフからある程度を求め、ネット情報と大きな相違がないため参考にして、2.5時間と記載しております。
SG配合顆粒(アリルイソプロピルアセチル尿素)
【作用機序】
緩和な鎮静薬で、痛みに伴う不安、不快感、恐怖心等の疼痛反応を除去することにより疼痛を緩和するとともに、鎮痛薬の作用を増強する。
【薬物動態】
半減期(t1/2):14.28±5.81(h)
最高血中濃度到達時間(Tmax):1.08±0.71(h)
ブロム中毒とは?
ブロモバレリル尿素の半減期は約2.5時間のため、Ritschel理論に当てはめると1日1〜3回で使用した場合、
3.2~9.6のため定常状態にはならず、蓄積率は1.0~1.1程度と予測されます。
しかし、ブロモバレリル尿素からBrが体内で遊離をすることと、Brの半減期は12日(288時間)とブロモバレリル尿素と比べかなり長いため、
Brが体内で蓄積してしまうことで中毒症状が発現してしまう場合があります。
ブロムを1日1回服用した場合を計算したところ、蓄積率は約17倍になりますね!
※単回投与時の17倍の量という意味です。
参考リンク:市販鎮痛剤常用量の服用による慢性ブロム中毒の1例
アリルイソプロピルアセチル尿素の半減期について
アリルイソプロピルアセチル尿素の半減期は14.28±5.81時間と紹介しましたが、ここでは簡略して14時間で考えます。
薬の効果がなくなるまでの時間は半減期の5倍と考えられることが多いため当てはめると、
14時間×5=70時間
なので、一度服用した薬がほぼ消失するまでに70時間かかりますね!
Ritschel理論に当てはめると1日1回で服用した場合、
24÷14≒1.71
1.71は3以下のため、定常状態に達する薬と考えられます!
また同様に、蓄積率は1.3〜1.5程度と考えられます!
アリルイソプロピルアセチル尿素は、あくまでも鎮痛薬の補助のため定常状態に達さなくても治療上の問題はないと私は考えております!
何日も連続で服用を続けると蓄積して眠気のリスクが上がる可能性があると考えられるので、注意が必要ですね!
薬物動態学の書籍紹介
薬物動態を推理する55Question
今回の記事の内容ですと、
Ritschel理論や蓄積率
の実践的な考え方の参考になりました!
難しいことがわかりやすく書いてある印象ですね!
最後に
というわけで、今回はブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素について勉強した内容の紹介記事でした!
市販薬でよく使われる成分について、地道に調べていこうと思っています!
気に入っていただけたらまた見に来てください!
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