フドステインとカルボシステインの強さ・違いを比較【去痰薬:クリアナール・スペリア、ムコダイン】

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    フドステイン(商品名:クリアナール、スペリア)という去痰薬はご存知でしょうか?

    去痰薬の中ではカルボシステインと薬効が似ており、構造式も非常に類似性があります!

    私の調剤経験からすると、カルボシステインで効き目が悪い場合にフドステインに切り替わる印象がありましたので、

    「カルボシステインよりもフドステインの方が去痰作用が高いのではないか?」

    と考えてはいたのですが、確実な情報はありませんでした。

    改めて調べたところ、有益な情報がPMDAに公開されている「新薬の承認に関する情報」にありましたので、フドステインとカルボシステインの作用の強さ比較や、それぞれのメリットについて考察したいと思います!

    去痰薬の作用機序を考える上で「フコース/シアル酸比」や「杯細胞の過形成」などが出てくるので、それについても簡単に補足しております!

    痰がベタつくメカニズム

    気道分泌液には粘液(ムチン)と漿液(しょうえき)がある!

    粘液(ムチン):杯細胞、粘膜下腺の粘液細胞

    漿液:気道上皮細胞、粘膜下腺の漿液細胞

    気道上皮・粘膜下腺の簡易図

    ゾル層:ほとんどは気道上皮細胞由来の水分から構成されている!

    ゲル層:粘膜下腺(粘液細胞)や杯細胞より分泌される粘液が主要の構成成分!

    杯細胞の過形成

    気管に何らかの異常が出ると、中枢気道や末梢気道で杯細胞の過形成が起こります!

    杯細胞は粘液(ムチン)を分泌するため、杯細胞の過形成により粘液(ムチン)の分泌が過剰になります!

    ムチン(粘液)について

    ムチンはタンパク質とオリゴ糖からなる糖タンパクで、糖側鎖の末端はフコースやシアル酸等で構成されております!

    このフコースとシアル酸の割合が痰の粘弾性に影響を与えると考えられております!

    フコース/シアル酸比とは?

    フコースの構造

    ●炭素数:6

    ●中性

    シアル酸の構造

    ●炭素数:9

    ●酸性

    ●Rの部分(アミノ基)の修飾の違いより、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコシルノイラミン酸などの種類がある

    シアル酸とは、炭素 9 個からなり、アミノ基とカルボン酸(酸性部分)を有するノイラミン酸の修飾体(アミノ基など置換)の総称です。

    https://soyaku.co.jp/info/2308/

    フコース/シアル酸比が高いとどうなる?

    フコース/シアル酸比が高い(フコース↑、シアル酸↓)と、ムチンの粘性が高くなります!

    フドステインとカルボシステインの強さの比較

    フドステインの方が「杯細胞の過形成の抑制」「粘液修復作用」「漿液性気道分泌亢進作用」「抗炎症作用」の効果が高いと考えられます!

    ※非臨床試験

    臨床試験では直接的な比較ができていない(評価基準が異なる)ため、判断は難しいです!

    理由については下記に非臨床試験、臨床試験についての引用を記載します!

    フドステインの非臨床試験の引用

    杯細胞の過形成の抑制

     フドステインは,ラットでのIsoあるいはLPS誘発による気道上皮杯細胞の過形成を10~100mg/kgで有意に抑制した。フドステインの臨床用量は24mg/kg/日(ヒトの体重を50kgとして臨床用量1日1.2gを投与した場合)であるが,杯細胞過形成抑制作用の各種試験の50%抑制用量(ID50値)は6.5~51.8mg/kgの範囲にあり,臨床用量を含んでいる。L-カルボシステイン500mg/kg,塩酸アンブロキソール100mg/kgでも抑制作用がみられたが,これらは臨床用量(ヒトの体重を50kgとして,L-カルボシステインは30mg/kg/日,塩酸アンブロキソールは0.9mg/kg/日に相当)に比べると非常に高用量であった。

    新薬の承認に関する情報(フドステインに関する資料)※PDF直リンク

    粘液修復作用

     従来よりL-カルボシステインで報告されている粘液修復作用について,フドステイン20,100及び500mg/kg,L-カルボシステイン500mg/kg,塩酸アンブロキソール100mg/kgを用いて,気管支炎ウサギの痰中フコース/シアル酸比に対する作用を検討した結果,フドステインは用量依存的な抑制作用を示し,500mg/kgでは有意な抑制を示した。一方,L-カルボシステインは抑制傾向がみられただけであり,塩酸アンブロキソールは抑制作用がみられなかった。フドステインとL-カルボシステインの臨床用量を勘案すると,フドステインはL-カルボシステインと同程度もしくはそれ以上の力価を有することが考えられる。なお,本試験において,作用発現用量が臨床用量に比較して高用量となったのは,元来痰がないウサギに対して痰を生成させるために,高濃度の亜硫酸ガスを長期間曝露し非常に苛酷な条件のもとで試験を実施したことが一因であると推察された。

    新薬の承認に関する情報(フドステインに関する資料)※PDF直リンク

    漿液性気道分泌亢進作用

     フドステインは500mg/kgでウサギの漿液性気道分泌を亢進するのに対し,L-カルボシステインでは1500mg/kgでも作用がみられなかった。なお,ウサギ及びラット等は粘膜下腺の乏しいことが知られていること20)から,気道分泌を亢進させる薬物の評価には高用量が必要になるものと考
    えられた。
     漿液性気道分泌物は,粘弾性の増加した気道分泌液を改善するとともに,リゾチーム,ラクトフェリン,分泌IgA等の局所感染防御物質が含まれ気道を感染や炎症から防御している1)。これらのことより,漿液性気道分泌亢進作用は,フドステインの去痰作用のみならず感染防御にも寄与することが推察される。

    新薬の承認に関する情報(フドステインに関する資料)※PDF直リンク

    抗炎症作用

     フドステインは,10mg/kgでLPS誘発によるラットの気管支肺胞洗浄液(BALF)中のcytokineinducedneutrophil chemo-attractant-1(CINC-1)量の増加を有意に抑制し,30mg/kgで好中球数の増加を有意に抑制した。L-カルボシステインも10mg/kgでCINC-1量の増加を有意に抑制したが,好中球数の増加に対しては100mg/kgでも抑制作用を示さなかった。
     また,フドステイン100mg/kgは,抗原誘発マウスのBALF中の全白血球数及び好酸球数を有意に抑制したが,L-カルボシステインは100mg/kgで抑制作用を示さなかった。
     気道炎症は種々の気道疾患を誘発することから,フドステインの抗炎症作用は,気道を感染や炎症から防御するとともに,去痰作用にも寄与するものと考えられる。

    新薬の承認に関する情報(フドステインに関する資料)※PDF直リンク

    フドステインの臨床試験の引用

     フドステインとは評価基準が異なるものの,現在市販されているL-カルボシステインの錠剤22)及び塩酸アンブロキソールの錠剤23,24)の慢性呼吸器疾患に対する改善率は43.4~63.5%であり,また,フドステインの試験と同様の評価基準を用いたプラセボを対照薬とした比較試験25)におけるプラセボ群の改善率が24.2%であることからも,フドステインの改善率64%は高い改善率であると考えられた。

    新薬の承認に関する情報(フドステインに関する資料)※PDF直リンク

    フドステイン(クリアナール、スペリア)

    フドステインの効能・効果

    以下の慢性呼吸器疾患における去痰
    気管支喘息,慢性気管支炎,気管支拡張症,肺結核,塵肺症,肺気腫,非定型抗酸菌症,びまん性汎細気管支炎

    フドステインのメリット

    「杯細胞の過形成の抑制」「粘液修復作用」「漿液性気道分泌亢進作用」「抗炎症作用」において、カルボシステインと比べて効果が期待できると考えられる点!

    カルボシステイン(ムコダイン)

    カルボシステインの効能・効果

    【成人・小児共通】

    ○下記疾患の去痰 上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核

    〇慢性副鼻腔炎の排膿

    【小児】

    ○滲出性中耳炎の排液

    カルボシステインのメリット

    適応範囲が広く、乳児~大人まで幅広い用法・用量が設定されている点!

    参考文献

    PMDA

    新薬の承認に関する情報(フドステインに関する資料)

    ※↑はPDF直リンクです(2.開発の経緯が本記事のメイン)

    医化学創薬株式会社

    第34話 シアル酸とは ~序論

    薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100

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    最後に

    というわけで、今回はフドステインとカルボシステインの比較の考察の紹介記事でした!

    少しでも参考になれば幸いです!

    この記事を書いた人

    くくたるのアイコン

    くくたる薬剤師

    仕事
    フリーランス薬剤師(調剤薬局・ドラッグストア)
    資格
    国際中医師、ハーバルセラピスト、シニアハーバルセラピスト

    国際中医師は医師免許ではありません。

    運営者について

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