カルニチン欠乏症を起こす医薬品の構造と作用機序【ピボキシル基、バルプロ酸】

    先日、【L-カルニチンで脂肪代謝改善!?役割と欠乏症について】という記事を書きました。

    今回は、カルニチン欠乏症(血清カルニチン低下)を起こす可能性のある医薬品について、構造式や作用機序も含めて紹介・考察をしたいと思います!

    カルニチン欠乏症を起こす医薬品とその構造式

    カルニチン欠乏症を起こす特徴的な構造があるため紹介します!

    セフジトレンピボキシル(メイアクト)の構造式

    血清カルニチン低下:頻度不明

    セフカペンピボキシル(フロモックス)の構造式

    血清カルニチン低下:頻度不明

    セフテテムピボキシル(トミロン)の構造式

    血清カルニチン低下:頻度不明

    バルプロ酸Na(デパケン・セレニカ)の構造式

    カルニチン減少:頻度不明

    カルニチン欠乏症の症状

    カルニチン欠乏による症状は、肝臓、脳、骨格筋、心筋など種々の臓器で異常が生じ、重篤なカルニチン欠乏症では低血糖発作による昏睡や不可逆的な臓器障害をきたすとされております!

    小児ではピボキシル基が影響して低カルニチン血症を生じ、低血糖症、痙攣、脳症などを起こすことが知られております!

    カルニチン欠乏症を引き起こす作用機序

    カルニチンの作用は脂肪酸をミトコンドリア内に移動させることで有名だと思います!

    しかし、それ以外にも細胞内の不要な脂肪酸と結合(アセチル化)して、血中から尿中に排泄する役割もあると考えられております!

    ちなみに天然の脂肪酸の定義は、直鎖炭化水素のカルボン酸であり、炭素数が偶数であるとされております!

    下記に記載するピボキシル基(ピバリン酸)とバルプロ酸を脂肪酸と呼べるかはわかりませんが、炭化水素でカルボン酸が含まれておりますね!

    ピボキシル基

    ピボキシル基(赤丸の部分)が薬剤から解離しピバリン酸(C(CH3)3COOH)となり、カルニチンとアセチル化して尿中から排泄されるため、カルニチン欠乏が起こるとされております!

    ピボキシル基を含有する抗菌薬の、小児に対する重篤な低カルニチン血症による低血糖について問題視されており、PMDAから医薬品適正使用の通知がされております!

    特に1歳代で多く、長期投与に限らず投与開始翌日に低血糖を起こした報告もあるそうですので、相談された時に対応できるよう注意しておく必要がありますね!

    ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について - Pmda

    ※こちらのリンクは外部のPDF直リンクです。

    バルプロ酸とカルニチン

    「バルプロ酸で誘発されるカルニチン欠乏の推定機序として、バルプロ酸またはその代謝物がカルニチンの生合成を阻害すること、腎尿細管での再吸収を阻害することなどが報告されている」

    と、「バルプロ酸によるカルニチン欠乏症に続発した高アンモニア血症に対して
    カルニチン補充療法が著効した1例
    」では記載されております!

    ※こちらのリンクは外部のPDF直リンクです。

    バルプロ酸ナトリウムからバルプロ酸に代謝された後、様々な経路で代謝されます!

    詳しくはインタビューフォームの「5.代謝(1)代謝部位および代謝経路」あたりを参照していただけると助かります!

    個人的には「バルプロ酸の代謝経路の1つにβ酸化がある(関与は少なそうですが)」ことや、「バルプロ酸とカルニチンでアセチル化して尿中排泄されるのではないか」なども考えてはいるのですが、根拠は得られなかったです!

    最後に

    というわけで、カルニチン欠乏症を起こす医薬品の構造とその機序についての考察記事でした!

    働いていて、低カルニチン血症が疑われる副作用に出くわしたことはない(気づけていない)ですが、把握しておくべき薬剤はセフジトレン、セフカペン、セフテラムなどのピボキシル基を含むものとバルプロ酸がメインで少ないため、万が一に備えて頭の片隅に覚えておくと良いのではないかと思います!

    関連記事L-カルニチンで脂肪代謝改善?役割と欠乏症について【薬剤師監修】

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